仕事が人を育てる
こんにちは。Rock Me!の小林です。
いま巷を騒がせている「キュレーションメディア問題」と、焦点となってるDeNAについて、自分の思うところを。
一昔前にGREEさんやDeNAさんが流行らせたブラウザベースのFlashゲームやら、ガチャやらのコンテンツやビジネスモデルにまったく興味が湧かず、それを運営してる会社は成長していても完全にノーマークでした。
だから、同じコンテンツ業界にいながらモバゲーを運営しているDeNAの南場さんもノーマーク。
球団を買って会社のブランディングをしはじめたあたりから、女性経営者のシンボルとして南場さんが「イケてる経営者」としてメディアの脚光を浴びて、旦那さんの看病で第一線を退くまで
「今どきな経営(メディア使い)がうまい人だなー。」
くらいに、遠くからみていた程度でした。
それが今回、キュレーションメディア問題でDeNAがフルボッコにされているのをみて一転。
南場さんという人にすごく興味が湧いてしまった。
「もし自分が南場さんだったら」
ここからどうやって会社(とその文化)を建て直すか。
という視点で。
YouTubeなどで南場さんの映像をみていた。
10年くらい前で、DeNAが脚光を浴びだした頃の南場さん。
過去の映像をいくつかみるに、南場さんが社長として陣頭指揮していたときは、「想い」をかなり重視するタイプの経営だったのがわかる。
「想い」を持った担当者が、情熱を持って事業を推進することで初めてその人が成長し、事業も成長するっていう考え方。
「仕事をが人を育てる」という考え方。
このアプローチはとても好きだし、世の中の創業社長さん達はみんなそうあって欲しいと思ってるでしょう。
自分もその一人です。
実際、南場さんは現場の若手に成長のチャンスを与えてまくってた。
机上論じゃなく、ちゃんと実践してたのがすごいこと。この規模の会社で実践している人はIT業界だと滅多にいないので、しっかりした経営哲学を持つ素晴らしい経営者だと思った。
南場さんをちょっと好きになってしまった。
※出典:DeNAのIR向け決算資料より
この売上の推移をみてもわかるとおり、ソーシャルゲーム時代の勢いはどこへやら。
DeNAが最終的にキュレーション事業で暴走してしまった問題の背景は、ここ数年の売上の低下に経営陣が焦りすぎただけなのが明らか。
南場さん引退後、社内の現場で「想い」を無視して「KPI(売上とか数字のことね)」だけみる文化になってしまったのだと思う。
そして、そういう時代を作ってしまったのは、南場さんが信頼して育ててきた現社長、守安さんだ。
南場さんが一線を去り、頼りだったゲーム事業の売上が年々ガクガクと下がり続けてるのに、次の売上の柱が何もない。
上場しちゃって球団も買って、一流企業っぽくIT業界をリードすることを期待されるのだが、実態はヤバい。
守安さんじゃなくても、そんなの誰だって焦るでしょう。
※出典:DeNAのIR向け決算資料より
この資料にもあるように、DeNAの去年の決算説明をみると、
「向こう2・3年の売上はキュレーションが柱になっていきます」
と宣言してるのがわかる。
キュレーション事業の責任者をしていた村田マリさんという人は過去のインタビューなどみるに、どうみても「想い」を重視して事業やるタイプじゃない。
究極、どうすれば自分が楽をできるかしか頭にない、最近のIT界隈に多い起業家の代表みたいな感じだった。
でも、経営的にそんな彼女を頼るしかなかったのが南場+守安体制の最大の落ち度だと思う。
すごく皮肉なことに、いろいろな南場さんのドキュメンタリー映像にもあるように、南場さんが社長の時にたくさんの若手に事業立ち上げのチャンスを与え続けたのに、次の柱が社内で生み出せず、社外に求めたのが事実です。
他人事じゃなく、上場IT企業の経営というのは本当に難しいのだと改めて認識する。
零細企業経営とは次元が違いすぎるが、「仕事が人を育てる」を企業の風土として生み出すのは究極に難しいと感じる。
ついでに私見だけど、会社の最高責任者の2人が出てきて、キュレーション事業の責任を認めて何時間も謝罪する会見を開いているにも関わらず、今更その下の村田さんを引っ張り出して公開処刑しないと収まらない社会もヤバし…というのが私の本音。
実は南場さん、旦那さんの看病が発端となって、一線を退く前にWELQの前身となる医療サイトを自分の「想い」で立ち上げて、最初は広告事業じゃなく、記事の質を高めて有料でやっていたらしい。
でも全然収益性がないからと広告型のサイトに切り替えさせられてる。
そしてPVや記事の本数に突っ走りまくった守安体制が今回の問題を引き起こしてしまった。
だから、一番責任を感じているのは南場さんだろうし、ホントにいろいろ悲しいだろうなぁ。
でも南場さんのことだから、こういう展開もなんとなくは最悪シナリオのなかにあったはず。
こんなさわぎになっても南場さんが守安さんに社長を続投させるっていうのこそ、彼女の
「人は仕事を通じて成長する」
っていう「想い」なんだなと。
南場さんと守安さんが「想い」重視で建て直すDeNAはみてみたい。
学ばせて頂きつつ、ロックミーも想いの灯だけはみんなで守っていく所存。
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