大切なことはコンビニの外国人店員とミツバチに教わった
会社をやってると毎日いろんな郵便物が届くんですが、ほとんどが請求書。
最近届いて一番嬉しかったのは、「優良」の免許更新通知だった小林です。
こんにちは。久しぶりのゴールド免許に思わずガッツポーズしました。
これまで何度か言ってますが、私は人生で大切なことは、全部クソゲーから学びました。
でも経営で大切なことは、大学時代に読んだ経営教本やビジネス書からではなく、中国人コンビニ店員とミツバチから教わったよっていうお話です。
会社の目の前にコンビニのローソンがあって、ポンタ派の自分は良く使っています。
コンビニ店員さんってここ数年で首都圏だと8割くらい外国人になりましたね。もっとかな。
ちゃんとした研修を経て店に来ている彼らは最低限のお仕事はこなすものの、
「接客に日本人的な気遣いや細かさみたいなものはないなー」
みたいなことを個人的に感じてました。
言ってしまえば「嫌々やっている」というような態度の人が多い印象。
海外の労働力を頼っているのだし、そんなのは仕方がない。
この目の前のローソンも例にもれず、2年くらい前から中国人店員だらけになりました。
でもここのローソンは例外というか、びっくりするような突然変異が起きたんです。
ある時期、このローソンには中国人女性店員が3~4人がいました。
彼女たちはものすごい団結力とチーム力で、元気で笑顔にあふれていたんです。
レジを済ませると大きな声で
「アザマシター! ゴクロウサマデス!!」
とお客さんに声をかけるのです。
コンビニのレジで
「ごくろうさま」
と言われたことがないので最初は気恥ずかしいというか違和感があったのですが、彼女たちがとにかく明るく楽しくお客さんに接しようとしているのが空気で伝わり、悪い気がしないのです。
誰かが業務でミスすると、他のメンバーがすぐに気が付いてかけつけ、フォローする。
細かなサービスやホスピタリティも、軽く「日本人店員越え」をしていました。
何より、彼女たち自身が仕事を楽しんでいる感がすごい。
レジに行くと商品を手渡されるだけじゃなく、必ず彼女たちの元気が少し分けてもらえる。
そのムードに触れるとこちらも暖かい気持ちになるので、自分も積極的にそのローソンに立ち寄るようになりました。
ようは、自分はこのローソンの1ファンになってしまったのです。
実際この時期のこのローソンはとても活気にあふれて、繁盛しました。
「いったい、このコンビニに何が起こったんだってばよ??」
と思って、注意深く観察していました。
誰か彼女たちを仕切って教育する優秀なボスがいるのかなぁと思って。
すると、彼女たちが本当に困った時に頼る日本人男性の「副店長」が1人いました。
彼は外見はとても地味で、お店のなかで存在感はあまりありません。むしろ気を消している。
仕切っている感じは一切なく、ひたむきでまじめな人でした。
チーム中国が忙しくて手が回らないようなところを黙々とやっていました。
女性たちがちょっとしたミスをしても一切感情的にならず、お客さんに代わりに頭を下げ、淡々とフォローしていました。
恐らく、この着かず離れずの絶妙な距離感の副店長がいるから、女性たちは安心して自由に働けているんだな。
というのがなんとなくわかりました。
そんなある日、事態が一変します。
その男性副店長がいなくなり、急に別の日本人女性店員がやってきました。
彼女は「超仕事ができる人」でした。
できないことがない。
レジを打つのがとんでもなく早い。
こちらが急いでお金を出そうとしても間に合わないくらいレジが早い(笑)
でもこの店員は仕事ができるのにいつもイライラして、表情が怒っていました。
レジのバーコードリーダーはいつも「ガンッ!」と叩きつける。
コンビニに買い物に来ているのに、こちらが叱られているような感覚すら覚えました。
もともと和気あいあいとした雰囲気だったコンビニに、異様なムードが漂いはじめ、現場の空気がおかしくなっていく。
楽しく元気に働いていた中国人女性たちはこの「超仕事ができる店員」に叱られるのを恐れて、どんどん元気がなくなっていく。
1人辞め、2人辞め、3か月もしないうちにみんなの大好きだったチーム中国が解散してしまった。
そのローソンは間違いなく千駄ヶ谷の愛されスポットになりつつあったのに、この結果は残念。
その後、そのローソンは一転、ドラクエの魔王がいる城のような雰囲気になっていった。
同じ場所にあって、同じ商品を売っているコンビニなのに、ここまで変わることがあるんですね。
ちょうどこの事件が起きていたとき、友人のトミィのお誘いで千葉県の養蜂家、鈴木さんを訪れたことがあります。
養蜂家というのは、ミツバチが花から蜜を集めてくる習性を利用して、ハチミツ作っている人たち。
彼らは写真のようなハチを飼う巣箱をたくさん持っていて、ハチが元気に蜜を集めているか、外敵や病気に侵されていないかなどを細かくチェックしています。
この養蜂家さんに貴重なことを学びました。
・巣箱から花畑が近いこと
・病気にかからないこと
美味しいハチミツを作るうえで大切な要因はほかにもたくさんあるのですが
「一番大切なこと」
はなんだと思いますか?
実はそれが、巣箱のなかの「ムード」だというのです。
隣り合わせに並んでいる巣箱、A箱とB箱があったとします。
まわりの環境はAもBも全く同じです。
なのに巣箱を開けてみると、Aのミツバチたちはせっせと働いて蜜を集めて、活気に満ちている。
かたやBを開けてみると、ミツバチがイライラとしていて落ち着きなく、蜜が集まっていない。
実際そんなことが良くあるそうです。
これ、具体的にそれぞれの巣箱で何が起こっているんでしょうか。
良いムードのA箱では、女王蜂が健康で、女王にしかできない仕事(子供を産む)をしっかりやっています。
ようは、女王蜂が元気に活動し、ちゃんと子孫(DNA)を残す活動をしていると、他の働き蜂たちが「安心」を与えられて、モチベーションが上がり、せっせと蜜を集めます。
「女王蜂が働き蜂たちを安心させ、明るい未来をみせている」
ということなんです。
ダメなBの箱では、女王蜂が子どもを産んでいないとか、元気がないとか、何かしら不具合が生じていて、働き蜂たちが不安になり、イライラとして攻撃的になっているそうです。蜜集めどころではない状態です。
この話を聞いて、ハッとなりました。
ベルシステム24が東証二部から一部に上場するころも、ヤフーが知名度がぐんぐん上がり業績を伸ばしていた時も、そしてさっきのチーム中国が主体の目の前のローソンも、全てA箱っぽいムードだったよ確かに。
そして、ロックミーは今まさにB箱の状態じゃねぇかよ!と。
俺はみんなを安心させてきたか?
未来をみせてきたか?と。
雷に打たれたような感じでした。
実は以前のブログにも書いた通り、ここ数年、ロックミーは人を育てるということにとても悩んでいました。
「仕事が超できるベテラン」と修行中の「若手社員」の間が常にギクシャクし、あの手この手で取り繕っても、ことあるごとにB箱状態になっていました。
業績はまぁまぁ良くても、ムードが最悪だったのです。
私はへらへらとカキ氷を作りながらも、
「こんなムードの会社を経営していても何も面白くないな。」
と思い始めてました。
そして、ローソンのチーム中国のことと、ミツバチたちのことを何度も何度もぐるぐると考えているうちに、決心しました。
「小手先じゃなく、やり方を大幅に変えよう。」と。
B箱の会社をA箱にしないと本当に数年後この会社はちょっとした税金を納める以外の存在価値がなくなっちまう・・。
悪いけどそんな志で会社を興したわけではないのです。
「仕事ができる」ベテランたちは売上目標などにも真面目に取り組むがゆえに、時間的にも精神的にも余裕がなくなっていて、イライラが会話や表情に出てしまっていました。
結果、そのベテランが若手を教える精神的余裕もなく、若手は萎縮しまくりで、ベテランの顔色ばかり見て本来の力など発揮できない。
だからまず、仕事が「超できる」ベテランたちから、本当に効率の良い仕事以外を取り上げました。
「やらなくていいこと」を徹底して、ほんとうにスケジュールをすっかすかにしてやりました。(笑)
結構な英断だったと思います。
そして、若手にはとにかく仕事については基本口出しをゼロにしました。
もともとうちは残業が少ない会社ですが、それ以上にベテランにも若手にも、休みも与えまくることにしました。
で、何より一番変えたのは「自分」です。
私はエンジニアと黙々とアプリを作ることにしました。
女王蜂が子孫を残すのに倣って、私がプロダクトを作ることにしたんです。
もうすぐ2つのアプリが世に出ますし、その先にもいくつかの新しい仕込みがあります。
自分が作ったものは今でも通用するのかなーと、ワクワクしています。
あともう1つ。
自分の働き方のスタイルを変えました。
大学くらいの時から「仕事バカ」の呪いにかかっていました。
集中力も3日間ずっとパソコンに向かっていても切れず、体も健康に恵まれているので、かれこれ20年、ずっと土日もなく全力疾走していました。
オンとオフを気にしたことがないくらい、私は「インターネット」が好きで、好きなことを仕事にできていたからそんなことができたのだと思います。
でも自分が久しぶりにゼロイチでモノを産む動きをしてみて、さすがに肉体の衰えを感じてしまいました。
集中力が昔ほど長く続かないこともそうですが、持病だったストレートネックが悪化して、無理を続けると首に注射を打たないと動けなくなりました。
心に体が付いてこないってのはこういうことか・・・と。
首に10本の注射をブスブスと刺されたとき、「年相応の動き」っていうのを初めて考えさせられました(笑)。
それもあって、頭脳を使う思考労働はなるべく午前中、遅くとも午後3時までとしました。
週に何日か「絶対にスマホやパソコンのまえで仕事しない」日を作りました。
気が付くとたくさん時間をとられてしまうSNSも月イチくらいしか触らないことにしました。
これを自分のなかで「Unplug活動」と呼んでます。
最近は1人で山に入ってテントをはり、釣りしたり本を読んだりしています。
長年使わないで溜まっていたマイルを消費して外国の街を見て回っています。
自分が率先して休んで、みんなにその話をしていたら、みんなもそういう話をしてくれるようになってきました。
思い切ってやり方を変えたのが良かったのか、最近少しずつ、今までになかったこと起きてきています。
アルバイト社員には責任ある仕事を一切任せるべきではないと言って頑なに仕事を抱え込んでいたベテランの一人が、「ちょっとずつトライアルしましょう」と理解を示すようになりました。その結果初めてアルバイトリーダーも生まれ、ベテランがさらにルーチンワークから解放されました。
今、アルバイトリーダーの子は、社員候補としてさらに仕事の幅を広げようと頑張っています。
ロックミーに新しい採用の幅が広がり、最近は戦力になるエンジニアのアルバイトまで採用できました。
そして、それらに刺激をうけたのか、ポテンシャルが高いのに入社から2年経ってもなかなか結果を出せないでいた若手が、突然変異を起こしたように仕事ができるようになってきました。これには本当に驚いています。
最近は「みんなでLINEスタンプを作ろう」みたいなお遊び企画もやっています。
売上的にほとんど貢献しないのは重々承知。
でも、普段あまり一緒に仕事をしない人たちが接点を持てるようにするためです。
みんな楽しそうにやってくれてます。
そんなこんなをしていたら、最近のロックミーは少しだけですが、A箱に近づいてきた気がします。
ムードがぜんぜん違うし、良いことが1つ起こると連鎖する、良いスパイラルが起き始めているのを実感します。
最近は「こんなサービスやりたい」をガンガン周りに話すようにしています。不思議なことに、ちょうどそのスキルを持ったエンジニアがプロジェクトに参加してくれたりしはじめました。
結局、経営がうまくいかない理由なんて、自分にしかなかったということなんですけどね。
思い切って、真逆に舵を切ってよかった。
もし、B箱のようなムードの職場で働いている人がこの記事を読んだとしたら、是非その職場の偉い人と養蜂場に行ってみて、ミツバチの行動を自分の目でみて確かめてください。(笑)
いや、まんざら冗談でもなく、小手先なビジネス書なんかに書いていない、本質的なチーム運営のヒントがあると思いますYO!
さて、14時なので今日は店じまいにします。
長い記事を読んでくださり、謝謝!
小林宗織
P.S.
9月はインドでブッダの軌跡とIT街のバンガロール見てきます。
(ご参考リンク)
お世話になった養蜂家の鈴木一さんについての記事
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利用規約(銀座の母 アプリ) 2017.08.13
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コンビニの外国人店員とミツバチの話 side-B 2017.08.16
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