生きるちから
こんにちは。Rock Me!ダメ代表の小林です。
鏡リュウジさんがたまに送って下さるマドレーヌが美味しすぎて自分でも注文するようになり、ぶくぶく太っています。ヤバい。
日本人なら誰もが通る道なんですが、小学生のときに体育で「鉄棒」やらされたの覚えてます?
そのなかに必ず「逆上がり」がありましたよね。
コツさえつかめばなんてことはなく、ヒョイっとできるアレです。
ですが、必ずクラスで数人は「できないヤツ」がいました。
私はその「できないヤツ」でした。
幼稚園のころは体操部でバク中までできたのに、小学生でファミコン中毒になり、肥満児になってしまってw
先生に
「逆上がりが出来ない人は、休み時間や放課後に練習するように。遅くとも今学期中にできるようにしなさい。」
と言われ。
自分は残って練習しても、新学期になっても、全くできる気配がない。
他のできないヤツもちょっとずつ上達してできるようになっていく。
自分だけができないまま・・・。
みんなが体育で楽しそうにサッカーやっているのを横目に、自分だけ逆上がり。
当然クラスではデブレッテルが貼られる。
当時の自分は動けるデブ(サモハンキンポー)を目指していたのだが。
ウチにかえって、家長であるじぃちゃんに相談するわけです。
(※私を養子にとった実父)
「ねぇジィちゃん、どうすれば逆上がりできるようになる?」
するとジィちゃんはこういいました。
「逆上がりもできねぇのか。情けねぇヤツだな。庭に鉄棒作ってやるから待ってろ。」
大正生まれのジィちゃんは根性論の塊にして歩く男気。
世継ぎの私が逆上がりができないでクヨクヨしていることが相当気に障ったようで。
話が大袈裟になっていきました。
そしてある日、家に帰ったら庭に鉄棒ができていました。
「これ、体操選手がウルトラCとかするヤツでしょ。まず手が届かないよ! 学校の鉄棒はコレジャナイ!」
そんなようなコトを言いましたが、
「情けねぇなぁ」
と一言だけ。自分がグルグルと鉄棒を回り始めました。
ジィちゃんはもと体操選手だったので、そりゃうまいでしょうよ。
その後の人生でも、自宅にこんな鉄棒を作ったヤツはロッキー・バルボア以外に見たこがない。
こうして、逆上がりに苦手意識を深めてしまった。(笑)
ところが翌日、学校でふと逆上がりをしてみたら、
「クルン」
とまわれてしまったのです。
自分でも信じられませんでした。
いつもは
「できないに決まってる」
と思いながら変な力が入っていたのですが、前日強烈な鉄棒をみたインパクトのせいか、変な力が入らずに挑戦できていたと思います。
たまたま1回うまくいったら、そのあとは何回でもできるようになりました。
まわる時のちょっとしたコツだったのですね。
小中学校のときって、鉄棒以外にもこういう小さな失敗や挫折がたくさんありませんでした?
この年齢になって、実は学校という場所が小さな失敗やそれを乗り越える成功の体験の場だったことがわかります。
「自分だけ九九ができない」
とか
「自分だけピーマンが食べれない」
とか。
そんな試練があって、自分でなんとか頑張って克服していきます。
『苦手なことを自分なりに工夫して、克服したり、好きになる訓練』
こういう小さな失敗の積み重ねが、社会に出てから小さな壁にぶつかった時に、
「ほら、お前このくらいの困難は自分で乗り越えられたじゃないか」
と味方になってくれていると思います。
大袈裟な言い方すれば、これが「生きるちから」であり、「自信」なのかなぁ。
と思ったりするわけ。
最近よく
「昭和世代の仕事は根性論、精神論ばかりで古い」
という批判をよく見かけますね。
たぶん、若い人たちからみたら、我々昭和脳はみんな経済のために国がチューニングしたロボットみたく見えているんじゃないでしょうか(笑)
「なんで自分を押し殺して、ストレスに耐えて生きてるの?」みたいに。
ルールのなかでストレスに耐えていればブランド服や高級車、マイホームが買えて、それで心を満たせた世代と言われても否定できない側面はあります。
反対に昭和世代からは
「若い世代はメンタルが弱すぎて、仕事を責任持って最後までやり遂げない。ガツガツしてない。」
というのもしょっちゅう聞きます。
実際私も若い子たちが仕事しているのを見てると「ビジネスとして成立させる」ことへのこだわりが小さくて、大丈夫かなーと思うことも多い。
社会が成熟して、家も車も持ってる彼らは、ガツガツする必要がない世代なのは確か。
彼らが何で心を満たすのかは彼らの世代が決めることだし、それはお金で買えるものではない傾向が強いのは確かなんだから、昭和の価値観を押しつけるのはよくない。
でも。
ガツガツしてようがしてまいが、組織にいようがいまいが、社会に出て何かチャレンジをすると、必ず大小の壁にぶつかる。
昭和な私たちは有り難いことに、ちょっとした壁なら自分で考えて乗り越える訓練を学校でしてくれてある。
その逆で若い世代は、壁を乗り越えるのではなく「避けてOKだよ」と教育されてきてる。
だから、社会人になって部署に配属されてはじめて小さな壁にぶつかったとき、
「俺だけ逆上がりできないや・・・」
というような感覚を覚えてしまう。自信をなくす。
我々の世代だって、逆上がりができなくても学校の先生たちは長い目で待ってくれた。
若い世代と楽しく仕事していくコツはここにあると思う。
「ゆとりは使えない」とか言って放置するんじゃなく、
「一緒に壁を乗り越える方法を考えて、見守る」
というスタンスがとても大切に思う。
そしてそれを上長も理解して、組織全体でやっていかないと。
自分も以前は
「ちゃんと責任感を持って、仕事を自分事にする努力をしよう」
と若い世代に言ったのだけど、最近はむしろ、
「若い世代が【生きる力】を育むことを私たちが自分事にしないとダメなんでは?」
と考えるようになった。
先日、ロックミーは人を育てることで大失敗をしてきたというブログを書きましたが、こういうスタンスに変えてマネジャーたちとも取り組むようになってから、やっと新人が定着するようになってくれました。
あと3歩ずつ、お互いに歩み寄れたらいいのになぁと思う今日この頃。
鉄棒は変な力が入っていたら、本来できる能力があってもできない。
でも一度まわれたら、何回でもデキるようになるもんですからね。
ではまたー。
小林宗織
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