ダーマ神殿へようこそ
こんにちは。Rock Me!代表の小林です。
良く起業を考えてる人から「会社の作り方教えてー」みたいな相談を受けるのですが、ほとんどの人は実際の起業に至りません。
私自身のRock Me!もまだまだこれから。発展途上の会社でこれからたくさんの山を登らねばならないのですが、起業したいとか自分で商売したいって人たちを冷静にみていると、何となく共通項があることに気が付きました。
最近、古い友人であるKくんから連絡がありました。
彼もそのうちの一人だったと思います。
K「相談ごとがあるんだけど・・・会えない?」
いったい何の相談だろなー?
なんて思いつつ、
宗「オッケー。でもなんの相談か教えてー。」
と聞きました。
だって、自分がアドバイスもできないような相談内容だったら時間を割くのはお互いにちょっともったいないですもんね。
K「宗の会社の立ち上げエピソードとかいろいろ聞きたいんだよね」
Kくんの目的がはっきりせずモヤモヤでしたが、旧い友人なのであまり気にせず、彼と待ち合わせして飲みながら話を聞きました。
Kくんはサラリーマン。
ネットワークエンジニアとしてキャリアを重ねてきたのだけれど、40才を目前に起業チャレンジをしたいと思っているとのこと。
K「どうやって最初に人を集めたの?」
K「どうやって資金を集めたの?」
K「どうやって・・・」
という具合に、会社を興す際の具体的な「手段(方法)」を聞いてきたので、私の知っていることを全部答えていきました。
宗「で、Kちゃんは具体的になにをしようとしているの?」
と聞きてみました。
実際Kちゃんが何をしたいのかがクリアーでなく、アドバイスも漠然としかできなかったので。
K「・・・あるネットサービスを作りたいんだよね・・・でも自分はアイディアとネットワークの知識はあっても、データベースやらデザインやらアプリやらは全くわからないし、人脈もなくて・・・正直どこから手をつけていいかわからないんだ。誰かいい人いないかな?」
宗「Kちゃん、事業のスタートは誰でもそんなもんだよ。でもさ、俺を呼んでいろいろやり方聞きたいのはわかるけど、どんなウェブサービスにするかも俺に秘密なの? 自分はなにも開示しないで、助けだけ引っ張りだしたいの?(笑)」
と、あえて相当なイジワルをいってやりました。
すると彼は少し黙ってから、
K「だってさ、宗は行動力の塊だから、俺のアイディア聞いたらすぐに実現できちゃうじゃん・・・」
これだったのか・・・
彼がずっと目的をハッキリ言わなかった理由は。
(友達のアイディアを平気でパクるかもしれない人間に見えてるんだなぁ・・・泣)
しかし。
こういう風にアイディアをひとりで温めて温めて、結局行動に移せないパターンをこれまで何人みてきたことか。
だから、思い切り言ってやりました。
宗「Kちゃん。自分のアイディアを大事にしたい気持ちはわかるけど、ぶっちゃけKちゃんがそのアイディアを思いついてる時に、すでに世界には同じことを考えている人が1万人いる。で、そのうち1%の100人は実現に向けて動いている。そしてその1%の1人が成功する。俺なんかの心配をしなくても、ほんとにKちゃんのアイディアがいいものなら、サービスを世に出した途端、パクる人たちが出てくる。そのときに資本力がない自分の会社がどうやって大手に太刀打ちするかを考えた方がいいよ。」
実際、私は事業アイディアを生むことが仕事なので、いつも大小のアイディアが浮かびますし、「いけるかも」と思うものは必ずアイディアスケッチをします。絵にしたり、文にしたり。
たとえば2001年、当時企業で流行りつつあったグループウェア(サイボーズとかが有名ですね)に日記機能をつけて、アクセス権を設定できるようにして、一般人が使ったら絶対におもしろいと思い、スケッチを作って部署内で見せて回っていました。部署内の反応は「なんじゃこりゃ???」みたいな感じだったので、ヘタレ新卒だった私は「ニーズないのだろうな…」と行動を止めてしまいました。
すると数年後、世界中でSNSがサービスとして生まれ、Facebookはみなさんご存知の通り社会のインフラにまでなりました。
私がそういう構想をしていたときに、同じことを考えている人は星の数ほどいたのです。Facebookのザッカーバーグさんはアイディアの卵を温めるのはほどほどに、実際に形にして世に出して、利用者の反応をみながらサービスはどんどん発展していきました。
アイディアを生む仕事にしている企画職にとって、こんなの日常茶飯事ですし、実際に行動をした人の成功をみて「あれ、俺も考えていたんだよね」がいちばん底が知れてしまうセリフです。
そんなわけで本当に
「Idea is Nothing!」
なのです。
そんな話をしていると、Kちゃんはついにやりたいことを話し始めました。
アイディアとしては、普通でした。
ニッチですが、もう考えている人は世界に最低1000人はいるでしょう。
でも。
Kくんの眼の輝きが変わりました。
彼がそのサービスの内容を具体的に話し始めたとき、そこに「熱」がありました。
この人は本当にこれをやりたいんだな・・・
と思える「熱」が。
そして、サービスもやり方次第でちゃんとビジネスとしても成り立つなと思いました。
それまでは「旧友だから」という理由で彼にアドバイスをしていましたが、彼の熱によって私のモチベーションは一気に「この人の志を支えてあげたい」に変わりました。
そのサービスが世に出て、Kくんが目的を達成したら関わる人もユーザーも幸せになるし、一緒に呑む酒がうまいだろうなぁと思ったのです。
このKくんの話は例に過ぎません。
Facebookで良いところばかり切り取ってアップしているせいなのか、わたしのところに起業を考えている人が良く相談にきてくれます。
で、彼らにいつも話すのですが、今の時代ほど起業に向いている時代はありません。
特にネット系起業については断言できます。
書類上、1円から会社作れます。
シェアオフィスだって安いです。
昔は用意するだけで数千万円もしたネットサービス系のインフラは、よりよいものが月数万円から使えます。
起業にまつわる情報も探せばたくさんあります。
パソコンも激安です。どこでも仕事できます。
副業を許す会社すら出てきています。
起業できない理由がどんどんなくなっていく。
なーのーに。
相談にきてくれる人のほとんどは起業に至りません。
「まだ自分にスキルが足りてない」
「機をうかがっている」
「家族に迷惑かけたくない」
などなどを理由に。
「みんななんでアクション起さないのかなぁー」
ってずっと思っていたのですが、考えていたらなんとなくドラクエにいきつきました。
ドラクエの目的は世界を平和にするために、悪い魔王を倒すことです。
戦士一人では勝てません。ダメージを回復できないからです。
魔法使いも僧侶も特殊スキルがありますが、ひとりでは役に立ちません。
勇者のスキルはかなり中途半端で、ひとりでは一番役に立ちません。(笑)
でも、それぞれの能力がパズルのように組み合わさると、お互いの強みを活かしあって、強大な「魔王を倒す」という大きな目的を成すことができます。
そして、「勇者」にしかできないことがあります。
「勇者」は、間違いなく「勇気を持つ者」の略です。
「魔王を倒す」なんて誰もがビビってやらないことでも、勇気をもって「行動を起こすこと」です。
「起業して成功する」という大きな目的を成すのに、一人でアイデアだけ温めていても何も始まりません。
自分がもっているスキルがどういうパズルのピースで、目的を完遂するのにほかにどんなピースを見つける必要があるのか。
ちゃんと考えて、他のピースを探す必要があります。
この目的を成すためのパズルのピースを見つける一歩を踏み出し、組み合わせることができるのが勇者だけなのです。
今まで起業に至らなかった人たちは、ほとんどは「自分は魔法使いだから」とか「戦士だから」とかいう視点で、自分だけで(いつか)魔王を倒しに行こうとしている人たちでした。
だから、まわりを信じて頼ろうとしないのです。
アイディアをいつまでもひとりで温めています。
で、そのうち誰かがやってしまったり、タイミングを大きく逃してしまったり。
起業したい人は自分が勇者の視点になって、直接「熱」を伝え、魔王を倒す仲間を募らなけえればならないのです。
ロード・オブ・ザ・リングのフロド(小人族)は弱いのですが、相手がどんなに強大でも恐れず向かっていく勇気があるので、みんなが力を貸します。三国志の劉備も弱いけど、志を曲げない勇気があったので優秀な人が集まりました。ワンピースのルフィは・・・
と挙げればきりがない。
英雄になる話ではなくて、一歩を踏み出す勇気を持つ「勇者」になるという話です。
ドラクエでは職業を転職するのに「ダーマ神殿」に行きますね。
でも「勇者」という職業はないので、神殿で選択できません。
勇者は戦士や魔法使いみたいにスキルを誰かに認めてもらってなるものではなく、自分のなかにあるダーマ神殿で「俺は勇者だ」と宣言したときから勇者です。
誰でもなれるんです。
勇者になって行動を起こすと、それまで出会わなかったたくさんの人と出会います。
出会って、たくさんの人を信じることになります。
当然ながら、誰かを信じると裏切られることもあります。
傷つくこともあります。
それでも、人を信じ続ける勇気があるから、「勇者」なんです。
いろいろな理由でチャレンジ(起業)したい気持ちにストップをかけている人たちがいます。
もし本当に成し得たいことがあるのであれば、倒したい魔王がいるのであれば、準備がどこまで進んでいるのか、正直にそれを周りに話してみることからスタートしたらいいのではないでしょうか。
熱は必ず伝わって、必ず、勇者(あなた)を助けたいと思う人たちが現れます。
「人を信じる勇気」というのがどうしてこんなにハードルが高いのかよくわかりません。
誰もが傷つくことが怖いからかもしれません。
でも、魔王を倒すと得られるものは本当にプライスレスで大きいわけです。
実際起業が失敗しても、もがいた分だけ学ぶものはたくさんあります。
そして経済的にゼロの振り出しに戻っても、死ぬ国ではありません。これはホントにそう思います。日本は優しい。
実際あなたが勇者になって企業をしたとして、その時どれだけの人が助けてくれるかは今までの行いにもよります。
でも、手を貸してくれる人がゼロということはまずありません。
なぜこんなに「起業」をおすすめするかというと、今の時代、「起業」はリスクのおおきな冒険ではなく、もっとカジュアルなものだと思うからです。
よりたくさんの人が、行動を起こして、小さなビジネスを自分でやっていくべき時代が来ていると思います。
私も魔王を倒しに行く道の途中なので、そういう話をできる仲間が欲しいっていうのもあるんですけどね(笑)。
実際に起業した人たちをみていると、サラリーマン時代と較べて300%くらい活き活きしています。
課題にぶつかったりして、不安に襲われることも、正直たまにありますよ。
でもそういうときこそ、仲間がいることを思い出すと不安は吹っ飛びます。
魔王は信じる気持ちが弱い人々の心に付け込むものでしょう?
魔王は人が結束するのを一番嫌がるでしょう?
だから、あなたが誰かを信じて一歩を踏み出せたら、それはもう魔王を倒す第一歩なのだと思うのです。
さて、薬草とこんぼう持ちました?
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